CHERRY BLOSSOM No.050418 - A
24K. gold leaf and acrylic on canvas
180x330x4 cm.
2018
4月に展覧会を開催することが決まり、兼ねてから創造していた桜の展覧会を計画。観者がミツバチの視点に立って鑑賞する機会を制作しました。ミツバチを見かける経験は誰にでもありますが、その生態は、はちみつを採取する以外それほど知られていません。成虫は、最大でも27日しか生きる時間がなく、しかもメスだけが、懸命に女王蜂に花粉と蜜を届ける日々を送ります。オスは、屋外で外敵から巣を守るのが主な仕事なのですが、だらだら過ごしているので”怠け者”という意味の英語で “ drone ” (ドローン)と表象されています。メスバチの中でもっとも優秀な蜜をたくさん運んだ個体が、次期女王蜂に任命されます。(4週間しか生きられない生物が3年生きられるのですから大変な事?)そこで彼女らがどのように懸命に植物を見つめているのか、考察してみたくなりました。天敵のスズメバチを瞬時に発見し回避行動を取るために、その羽ばたきを察知する優れた動体視力を持っていると想像できます。また近眼でありながら花粉の黄色だけを注視して識別し、それ以外は、ほぼモノクロで花を見つめているのですが、風に揺れる花びらや天敵の接近、隠れた外敵の素早い動きには、特殊な視力で反応します。動かない遠くの景色や建物など危機感のないものは、注視する必要がないということが想像されます。また私は、久々に具体的な形のある花の絵と点描の抽象画、LEDのアクリル作品とミツバチの視線をテーマにした映像を同時に発表しました。ゲルハルト・リヒターや堂本印象のように抽象と具象を新作で同時に発表する作家は、世界にどのくらいいるのか。多くの現代美術家は、揺籃期に具象画を描き、研鑽期に抽象画を描いています。さてミツバチは、日本人の大好きな満開の桜をどのように見てるのか、今回の展覧会に際し大変興味深いテーマとなりました。
出品歴
2018 ◼ 個展/2kw gallery(大津) ▶ installation view